浮遊空母~ぼくの冷たい翼~
第30章 インド編④カシミール戦役
(2)
民間シャトルは戦闘用の前部ハッチの前を通り過ぎ、巨大な浮遊基地を回り込んでようやく後部ハッチから着艦した
格納庫には地上からのシャトルだけでなく、宇宙へ打ち上げるブースター付きシャトルの姿も見える
ここが乗り換える〈駅〉の役割を果たしていた
といっても連邦の高官の家族や、民間企業の高所得者たちばかりが利用するブルジョアな人間ばかりだ
軍事施設のためラグジュアリー的なサロンがあるわけで無く、お客さんは油臭い格納庫に嫌悪感を示している者も多い
ゾロゾロと歩いてシャトルを乗り換える列の中に、シンガポールでの会議を終えたライナーズ教授の姿があった…
本来アメリカのオーガスタへ戻るはずのライナーズだが、秘密裏に手配して宇宙へ向かおうとしていたのだ
彼は数ヶ月前からこの機会をうかがっていた
旧友ゲルトへ話したサイコフレームの話題
もともとは彼が月のアナハイム・エレクトロニクス社から入手した情報で、極秘にオーガスタで試作品を取り組んでいた
だが公の場で研究することも出来ず、ツテを使って小規模なローカル部隊〈アブドゥラ解放軍〉を利用したのだ
サイコフレームの素材を使って簡易的に設計したフリューゲル〈プラガーシュ〉とその遠隔操作兵器〈スティッキー〉を匿名で提供した
しかしその〈プラガーシュ〉がこの場所に立ち寄って同じ艦内に居てることなど、知る由もなかった…
宇宙シャトルへ乗り込んで指定の席についたライナーズは再会したゲルト教授のことを思い出していた…
〈…ゲルト君、早く地球から逃げ出さないとこれから大変なことになるぞ、でもキミはサイコフレームの情報に夢中になっているんだろうな…
フフフ、ドイツに戻ってフリューゲルタイプにでも搭載することを考えているのかな?
まぁ以前に開発したサイコ・クラングなんかよりもよっぽど小型化できるだろうからね
それでも早くそこから飛びたたないと、地上はすべて人の住めない土地になるんだぞ…〉
ライナーズは研究所に無断で、地球から脱出しようと企んでいた……
民間シャトルは戦闘用の前部ハッチの前を通り過ぎ、巨大な浮遊基地を回り込んでようやく後部ハッチから着艦した
格納庫には地上からのシャトルだけでなく、宇宙へ打ち上げるブースター付きシャトルの姿も見える
ここが乗り換える〈駅〉の役割を果たしていた
といっても連邦の高官の家族や、民間企業の高所得者たちばかりが利用するブルジョアな人間ばかりだ
軍事施設のためラグジュアリー的なサロンがあるわけで無く、お客さんは油臭い格納庫に嫌悪感を示している者も多い
ゾロゾロと歩いてシャトルを乗り換える列の中に、シンガポールでの会議を終えたライナーズ教授の姿があった…
本来アメリカのオーガスタへ戻るはずのライナーズだが、秘密裏に手配して宇宙へ向かおうとしていたのだ
彼は数ヶ月前からこの機会をうかがっていた
旧友ゲルトへ話したサイコフレームの話題
もともとは彼が月のアナハイム・エレクトロニクス社から入手した情報で、極秘にオーガスタで試作品を取り組んでいた
だが公の場で研究することも出来ず、ツテを使って小規模なローカル部隊〈アブドゥラ解放軍〉を利用したのだ
サイコフレームの素材を使って簡易的に設計したフリューゲル〈プラガーシュ〉とその遠隔操作兵器〈スティッキー〉を匿名で提供した
しかしその〈プラガーシュ〉がこの場所に立ち寄って同じ艦内に居てることなど、知る由もなかった…
宇宙シャトルへ乗り込んで指定の席についたライナーズは再会したゲルト教授のことを思い出していた…
〈…ゲルト君、早く地球から逃げ出さないとこれから大変なことになるぞ、でもキミはサイコフレームの情報に夢中になっているんだろうな…
フフフ、ドイツに戻ってフリューゲルタイプにでも搭載することを考えているのかな?
まぁ以前に開発したサイコ・クラングなんかよりもよっぽど小型化できるだろうからね
それでも早くそこから飛びたたないと、地上はすべて人の住めない土地になるんだぞ…〉
ライナーズは研究所に無断で、地球から脱出しようと企んでいた……