テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第35章 秘密警察の「人狩り」

(17)

4本のプロペラントタンクから凄まじい轟音で空中にホバリングしているアレクの〈グライテン〉



ソニアの部下たちの機体も範囲を狭めて包囲していく


「この忙しいときにッ!!

 アレク! アレクだろう!あのイラつくイヤな奴! 私はソニア! ソニア・ミラーだ!
 私を覚えているだろうッ!?
 いや、私の胸を覚えているだろッ!!

 小惑星フィフス・ルナがあと数分でここに落ちてくるゾッ! 戦っている時間は無いんだッ!」


ソニアは外部スピーカーで呼びかけながら、コックピットハッチを開けて、ヘルメットを脱ぎ、パイロットスーツの胸のファスナーを思いっきり下ろした!


谷間が露出する!



アレクの〈グライテン〉のモノアイが鈍く光る


そしてソニアにズームしているのがわかる



〈グライテン〉は小指から通信ケーブルを射出してソニアの〈プラグ〉に回線を繋げる



「何やってんだ、お前ッ! 次に会ったら容赦しねぇっつったろーがッ!
 何を連邦同士で争ってんだよッ!」


アレクは戦場のど真ん中でハッチを開ける自殺行為をするソニアに苛ついた


あいかわらず、能天気な女だ!


「アレク! 本部から聞いてないのかっ!?
 ジオンの隕石落としが始まったんだよッ!
 私たちが争っている場合じゃないんだッ!
 ひとりでも多くの民間人を助けなきゃあいけないんだよッ!」


「ジオン? 隕石落としだぁッ!?
 なんで宇宙のアイツラがここに関係してくるんだよ!
 それにここに助ける価値のあるような民間人が本当に居るのかよッ! 観光気分のバカなスピリチュアルごっこにしか興味無ェ哀れな民間人ばかりだろーがッ!
 オレたちは連邦の敵だッッッ!!!
 マンハンターも、連邦空軍もみんな敵だッ!
 オレたちは殺し合うだけなんだよッ!」



ソニアはハッチを開けたまま、外に出て手を真横に広げて人間の盾を示した!


背後には搭乗を急ぐ民間機


そこへノマ・ナッジールの〈プラガーシュ〉も舞い降りた!


ノマもハッチを開けて、無防備な姿を晒す!



他の第4部隊の〈プラグ〉たちもそれに倣う



皆で“人間の盾”をつくる……





ストーリーメニュー

TOPTOPへ