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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第35章 秘密警察の「人狩り」

(19)


小惑星〈フィフス・ルナ〉は新生ネオ・ジオンの目論見とおり、地球連邦政府のおかれていたチベット・ラサの街へ直撃



凄まじい大爆発を起こし、地殻にまで影響を与え世界中が大地震に見舞われることになってしまった



ラサの街は超高温で蒸発した


地表は巻き上げられ、塵は世界中の大気圏層にまで到達


分厚い黒い雲に覆われ、地表に太陽の光りが届かなくなっていった


地上はあっという間に気温が低下していく



新生ネオ・ジオンの〈地球寒冷化作戦〉は成功した



“人の住めない星にして、地球から人類を引き剥がす”ネオ・ジオンの戦略の第一歩は見事に成功したのだ



これを踏まえて連邦政府は軍の主力部隊を持ってしても、新生ネオ・ジオンを止められないと判断


軍での武力抑止から方針を転換させ、政治的な取り引きによって和平交渉へ舵をとり始めた


地球からの連邦政府の高官を宇宙へ派遣


武装放棄を条件に、かつてのネオ・ジオンの領地〈小惑星アクシズ〉を返還する交渉を開始していくのだった…



連邦の浮遊空母〈キュール・シュランク〉、

トランキュリティ軍の移動要塞〈マグリッド〉は避難民を回収後、緊急に超高度まで上昇


雲よりも高い位置まで上がり、衝突の衝撃波を少しでも回避したが、それでも多くの被害、ケガ人を続出させてしまうのだった…



ソニア・ミラーも重症を負ってしまった


格納庫の隅で泣きながら崩れ落ちているアニータ・カリードとノマ・ナッジールの姿を見かけた



インド・アブドゥラ州解放軍に残してきた子どもはおそらく絶望的だろうと知らされていたのだった…


隕石落としは地球だけでなく、人々にも深い傷を負わせていくのだった…



そんな非人道的な作戦を成功させた新生ネオ・ジオンだが、宇宙移民者〈スペースノイド〉たちからは連邦政府からの解放を実現させた者たちと讃えられ、さらなる協力者を広げていくのだった






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