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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第39章 キュール・シュランク

(1)

ニューホンコンは再び活気を取り戻そうと活気づいていた

小惑星アクシズの落下を防いだものの、前回のフィフス・ルナ落下の影響はかなり大きく、地球が〈冬〉のような状態が続いているのだ


暴風雨にさらされるアースノイドたち


多くの民間人は忍耐の限界を越えており、地球から離れて暮らそうと思う者が後を絶たない


民間企業は消費する人口が減少し、急激に弱体化し、さらに雇用が減りますます宇宙への移民者を増やす結果となってしまい完全な悪循環だ


民間企業の数社から構成される組織〈トランキュリティ〉も連邦軍やその下位組織マンハンターに制圧が繰り返され疲弊していた


新生ネオ・ジオンはアクシズ落下を失敗したものの、結果的には地球人類が自滅の道を走っており、残存艦隊は地球圏から撤退はしたものの依然スペースノイドからの求心力は高かったのだった


フィフス・ルナ落下によりネパール、インドからの宇宙港は壊滅状態となっており、アジア近辺ではニューホンコンのスペースポートに人々が殺到していた


ニューホンコンの街は廃墟となったものの、滑走路やシャトルの被害は小さく、宇宙への運行は比較的早く再開されたのだった


アキラの母親ミサコは親子ともにキュール・シュランクに身を寄せたものの未だにシャトルの搭乗券が手に入れられない状況のようだ


「おや?ミセス・ミサコ!浮かない顔だね」

ちょうど食堂にやって来たハンセン艦長が数名のクルー達と隣のテーブルについた


「なかなかチケットが取れなくて…、いつまでもこちらで厄介になっているのは申し訳なくて…」


「焦ることはないですよ、それにこちらは難民も下ろした後でスペースは空いている、ゆっくり気長に探してもらえれば結構ですよ
 どちらをご希望で?サイド1あたりですかな?」


「兄夫婦が月におりますので当面はフォン・ブラウンを考えているんですが…、息子が嫌がっておりまして手を焼いております」


「…ソニアですな、彼女は多くの女性兵のなかでも生真面目で熱血気味ですからね、男まさりな部分が少年にはいい刺激になっていれば良いのですが」


ハンセンもミサコも同時にため息をついた…


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