テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第40章 最終決戦〜①クラング・スクリームの猛攻

〈17〉

アンジェラは長い夢を見ていた


自分の身体がふわりと浮いているような感覚…


ナオトとシンシアとの3人のコンドミニアム生活


ここまでリラックスしたゆっくり出来た時間は何年ぶりだろう



きっと一人きりの療養だと、焦っていただろう


早く戦場に復帰しなくては!と気持ちだけが先行してしまい療養出来なかっただろう



ナオトとシンシア、そしてマリコには感謝している



この4人のおかげで戦争の重圧感を少しでも和らいで過ごせたのだから



そして



戦死してしまったヤン


遠くのほうで微笑んでいる


長身のヤンはパイロットスーツ姿でこちらを見ている



無表情で朴訥な人柄のヤン



ふたりは愛し合っていたというよりは、



刹那的にお互いを求め合っていたのかもしれない



死と隣り合わせの戦場のパイロット



彼女たちは戦うための兵士であり、兵器の一部


それでも、ときには誰かに寄り添いたくなる



ヤンとアンジェラ



ふたりはオトナの戦士だった





風にふかれる



広い空



草原はたなびく



思春期のアンジェラ




後ろから声をかけられる



丘の上には細身の東洋人



ムラサメだ



若い研究員はニッポンから出向でやってきていた


多感な歳頃のアンジェラは何度も彼にアッピールしていたが、ムラサメは遠慮深い態度でやんわりと扱っていた


今ではわかる、彼からすればアンジェラは被験者のひとりに過ぎなかった…



それでもオーガスタ研究所暮らしのアンジェラからすれば彼は憧れの存在、王子様のように思えていたのだった



オーガスタ研究所ではたくさんの子供たちがいた


その中にシンシアもいた


そして、アレクも……!




「アレク……!!!」



アンジェラはガバッと目覚めた



病室



腰から起き上がったアンジェラは自分の今の年齢が一瞬わからなくなっていたので近くの壁の姿見を見る


やはり、夢か…



鏡に写った自分の姿…



鏡の中の自分


背中に黒い霧、モヤのようなものが見える!



これが何を意味しているのか、アンジェラは自分の未来を悟うのだった……



ストーリーメニュー

TOPTOPへ