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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第45章 あとがき

「大団円にはしなかったラスト」


通常の物語は大団円なラストになるものだ


映画、小説、コミックなど


数々の伏線を一気に回収していき、

物語を丸くおさめていく


当初の無力な主人公たちが成長したり、

過去のトラウマを克服したり、


ラストは「成長」を示して終わらせるのが定番コースだと思う


本作の稚拙な物語はあまりこの点を重要視させていない


ラスボスのアレクに打ち勝ったりするものの、

それは後半の主人公ソニアでもないし、

ソニアが何かを乗り越えられた風にも書いていない


ラストで特攻させたアンジェラも、個人的な何かを振り切ったわけでもない


丸くおさめなかった


その理由は「何もかも、誰も彼も乗り越え、克服してクッキリけじめをつける事は現実的にあまり無い」のではないか?と考えていたから


自分も含めて、周りの人間も


けっこういろんなことに対して引きずっている


それはクッキリ何かで乗り越えたわけではなくて、時間の経過とともに少しづつ自分の気持ちの中に「溶け込んで」いくものだ、と思うから


だから今作の終わらせかたもあっさり淡白にしている


キャラクター自身が納得して今後に旅立つという雰囲気は描写しなかった


ただ現況の一端であるキンバリー女医にはけじめをつけさせた


アレクたちと違い戦場に居ないので戦闘シーンは描けない


というわけでこっそり自分だけ宇宙ステーションに逃げ込んだ先で、シュメッターリングの娘たちにけじめをつけてもらった


アレクとキンバリーの娘でもあるキアラに親コロしの業を背負わせるのは少し違うなとも思う


それならばキアラのクローンたちであるシュメッターリングの娘たちが、自分たちの悲しき姉妹を今後も作らせない為にもキンバリーを「終わらせる」のが良いだろうと思った


そして娘たちは今後の心配もなく、本当にスティーブの家族になれるのではなかろうか


大団円にはしなかったものの、アレク、キンバリー、シュメッターリングの娘たちはけじめをつけることが出来たラストになった


ソニアたち浮遊空母のクルーたちも疲弊し、組織も弱体化していくだろう

それでも彼らは今後も出撃していくのだろう

ラスボスを撃退させたところで、それでオシマイってことは無いのだから


そんなわけで大団円ラストにはしなかったのです

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