テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第45章 あとがき

「武器の誓約書」

久しぶりに元自衛隊の女のコに再会した

ウクライナ侵攻から1週間目だった

たまたまニュースで「日本からの義勇兵、応募者70名のうち元自衛官が50名」と言う報道が出た直後だったので、「キミも行くか?」と再会の挨拶替わりに言ってみた


すると「撃ち方には色々あるんだけど、私は這って撃つほうが得意なんです」と言っていた


すごいなぁ、やっぱり経験者は!


報道を見ていて、何か自分でも役に立てないか

と考えたりもするけど、現実的に素人が現場でできることは少ない

逆にジャマになるだけかもしれない


また、その女のコはこうも言っていた

「銃を貸与されたとき、人を傷つける武器を手にした隊員の中には恐ろしくなって震える者がいます

こんな恐ろしい物を自分が持って、実際に誰かに向かって引き金を引くことになると考えると嗚咽してしまうのだそうです

私が泣かなかったのは上官から助言があったからです

〈これは人を傷つける武器では無い、自分の身を守るための道具だ、だから少しでも早く上手く使いこなさないと自分の命を守ってくれない、しっかり学びなさい〉と

その助言を聞きながら私達は武器を貸与されたときに〈誓約書〉を書きます

自分の身を守る武器を大切に扱う、という事です」


その女のコは退役して何年も経ち、今はまったく別の仕事をしている


実際のウクライナでの戦場では民間人が銃を手にして家族を、自分を、国を守ろうと銃を手にしているのだろう

そこには誓約書などもなく、ただ武器を手にせざるを得ない状況になってしまったことだろう


事前の誓約書も、助言もなく、戦う事に奮起する者も居れば、戦う事に恐怖で押しつぶされそうな者も居るに違いない


自宅に帰ってから、宇宙世紀の世界でも「モビルスーツの誓約書」とかにサインしたりするかもなぁ、と思ったりした


ナオトが元々の地上ガード部隊に入隊したときや、浮遊空母の実験部隊に入隊したときも

もしかしたらいろんな種類の誓約書にサインさせられたんだろうなぁ、と

自分で書いたお話しにもかかわらず、さらに妄想を広げてしまった

よくよく思い出したらスマホの契約でも何回も何回もタッチパネル端末にサインをさせられてたな


ちなみにその元自衛官の女のコはボクより歳下ですが、ズバズバと指摘してくるので話していると心地いい

ストーリーメニュー

TOPTOPへ