テキストサイズ

missing☆ring【完】

第3章 4年前。

その日を境に陸との距離が縮まって行くのを感じた。



「おはよう」


「バイバイ」



これぐらいの会話しかなかった私と陸が今は「裕実!俺、カレーパンと唐揚げ弁当!」4限終了のチャイムと同時に購買部目掛け走り出そうとする私に、陸が教室の奥から声をかける。



「は? 男子が女子をパシるなよ」


「俺より裕実の方が早いじゃん」



そんなことを言われ確かに! と思ってしまい結局は、



「はい。カレーパンと唐揚げ弁当」



陸のお昼を調達して渡した。



「ありがとう。はい。お駄賃」


陸は私の手を引っ張ってその手にチョコを乗せた。



「疲れたら甘いのね」



切れ長の瞳が優しく弧を描き「グシャグシャだ」と乱れた私の髪を直しながら笑っている。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ