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missing☆ring【完】

第3章 4年前。

修学旅行から帰って来て、私と陸との関係が少しずつ変化して行った。



学校では特には変わらなかったけど、家に帰り一人の私は陸にメールすることや電話をすることが増えた。



雅美と小林がケンカしてるとか、
綾子が部活でケガをしたとか、



陸にはどうでも良い話を笑って聞いてくれていた。
どちらかと言うと早口の私の話しに「え? もう一回」とちゃんと私の言葉を全部拾ってくれようとする。



それが嬉しかったから「ちゃんと聞いてよ」と何度も言い直して話した。



スローテンポに話す陸のリズムが心地良く感じて行く。
だから、ベッドに入っている時はだんだん眠くなって行った。



ありがたいことに、
一人で淋しいと見ていないテレビをつけることも、必要以上にレンタルショップに行くこともなくなった。



「裕実?眠い?」


「ん……少し、」


「寝て良いよ」


「でも、陸が話してるんじゃん……ちゃんと聞くよ」


「裕実って眠くなるとスローテンポになるよ」



陸が電話越しに笑っているのが分かる。



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