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missing☆ring【完】

第4章 3年前。

「あっ、そうだね」



陸がクスッと笑う。



「Missing ringがどうしたの?」



陸は親指と人差し指を丸めて、ギリギリの所で止めてそれを私に見せた。



「Missing ringって……欠けている輪のことなんだって」



陸はその指先で作った欠けている輪から右目を瞑り、左目だけで私を見つめる。
私もその輪の向こうに見える、陸の切れ長の左目を見つめた。



「欠けている輪か……私みたい」



フッとうすく笑い陸から視線をそらし、自分の足元を見つめた。



欠けている……
私の心も欠けている。

陸の隣で無条件に笑えていた頃とは違う。
私と陸の縮まった距離はまた少し拡がっている。
満たされないこの気持ち。




私のローファーの先に陸のスニーカーが見えた。



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