テキストサイズ

missing☆ring【完】

第4章 3年前。

夏休みに陸に夏祭りに誘われた。
それは女子が友達をトイレに誘うように簡単に。



単純に嬉しかった。
浴衣は淡い紫色で裾には朝顔が描いてあり、帯は濃い紫色。
母親に着付けを頼むと「彼氏と行くの?」と何か嬉しそうに聞いて来た。



「彼氏じゃないよ。友達。いつも話してるでしょ」


「あっ、陸君?」


「そう、陸と」


「あんた達もどうなってるの?」


「どうって?」


「彼氏も彼女も居ない。かと言って付き合うとかじゃないなんて……」




そんなことを言いながら、手際良く私に浴衣を着せてくれた。



「はい。終わり!」


最後に帯の所をパンと叩いて笑った。



「まぁ、良く分からないけど、後悔はしないようにね」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ