暗闇で恋しましょう
第10章 お買い物3
“名前流したら怒られるってどういうこと?”
“お顔、見せてくれないかな?”
“貴女、女の子よね?30だいのその男性とはどういう関係?”
やり取り、といっても一方的にそんな内容の質問を幾度となくされた。
されど、答えなど言えるわけもない。
適当にいなしてたら、ようやく諦めてくれたのがついさっき。
まあ、ご覧の通り。
痛いほどの視線はまだ、浴びせてくるけど。
これが普通の反応なんだろうけど、非常に居辛い。
うぅ……
ひぃちゃあん、早くぅ
本心だけど、これだけの疑念を抱いてるんだ。
ひぃちゃんが来た時だって、絶対同じことを聞くだろう。
ひぃちゃんのことだから、上手いこと躱すだろうけど。
今日のひぃちゃんは、いつもよりちょっと弱って
「ほ……げほっ、ごほっ、放送、はぁ……聞いて、きたん、ですけど、はぁ」
ひぃちゃんの、声……
自然と体が起き、立ち上がる。
全速力できたのだろうか。
館内の冷房なんてあってないようで。
汗は滴り、その様、正に“いい男”。
ボーッと見詰め、暫く。
お姉さんもそれは同じ様で、沈黙が流れる。
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