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暗闇で恋しましょう

第11章 まだまだどうやら子供のようで

よくよく考えたら、逃れる方法はいくらでも、ある気がする。


“それ、俺に言われて嬉しい?”


とか


“お前が似合ってるって思うならそうなんじゃね?”


とか!


あのひぃちゃんだ。


ここに気付かない訳が無い。


百歩譲って言うとしよう。


それでもきっと、それは素直なものでは断じてない。


“まあ、似合ってるんじゃね?”


そんな感じの、あくまで断定しない返答。



ここまでを!容易に!考え付く自分!!



………悲しきことかな。



でも、いいの。別に



そんなひぃちゃんが好きだし。


思い付いてた問い掛けで、(まずないけど)素直に言われても嬉しくなかったし。


言い聞かせ、言い聞かせ、言ってもいいようなシチュエーションでさえ、ひぃちゃんは、言わない可能性の方が高い事実を隠す。


だって、自分で先走った答えといえど、好きって本音といえど、これはちょっと、胸がいた




ぽんっ……

「似合ってる」




不意に頭に置かれた手と共に、降ってきた言葉。


驚き、固まっていると、次いできた言葉。



「何をまたぐちゃぐちゃ考えてるか知らねぇけど、考えんな。お前らしくもねぇ」



………全て、ひぃちゃんのせいな訳ですけど。

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