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暗闇で恋しましょう

第11章 まだまだどうやら子供のようで

ともあれ、言ってくれた。


素直に“似合ってる”と。


嬉しくて、顔がにやけてしまう。


手を口元に持っていき、隠そうとする既のところ。


突然、頭に置かれた手が、乱暴に頭を撫でる。



「わっわっちょ、な」



暫くそれは続き、やっと終わった頃。


髪の毛はぐちゃぐちゃで、前も見えない状態。


これは一体、何故の行動なのか。


そんな私の姿を見てか、ぶはっと吹き出す音。


こうしたのはひぃちゃんなのに、その本人が笑うとはどういう了見か。


むっと思い、さっと視界を遮る髪をどけて、口をつこうとしたところで息が止まった。


見えたひぃちゃん。


片膝立てて、そこに手を置き、頬を乗せ、こちらを見ていた。



「ばーか。喜び過ぎだっつーの」



ひぃちゃんらしくもない、子供みたいな言葉。


その顔にはこれまたひぃちゃんらしくもない、微笑が貼られていて。


私の心の臓は破裂寸前。


にも関わらず。


私は見付けてしまったのだ。


ひぃちゃんの耳の赤みを。


嬉しかったといえど、どこかではちゃんと分かっているつもりだった。


素直なひぃちゃんの言葉。


ワンピースの時と一緒、裏がないわけが無い。


今だって、ちゃんとそう思ってる。

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