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暗闇で恋しましょう

第13章 情けない

飛翠がないのは、杏ちゃんのそばにいる自信だ。



“慰める術を持っていなくても、飛翠がいい”

“飛翠がいてくれるだけでいい”



そう思っている杏ちゃんのそばにいる自信。


それが飛翠の立場上、激しく重い信頼なのは分かるし、逃げ出したくなるのも分かる。


だけど、そんな杏ちゃんを俺に押し付けるのはどうかと思う。



お前より遥かに重いプレッシャーかかってるわ



その伝をメールで返信すればいいのだが、俺が送ったのは“了解”、ただそれだけ。


それも、来てすぐくらいの話だ。


飛翠に救われたって弱みもあるが、第1は杏ちゃんでしかない。



だって、泣いてるって



飛翠のあのメールの感じからして、もう飛翠は家にいない。


つまり、杏ちゃんは今、部屋に1人な訳で。



泣いてる女性1人部屋に置いとける訳ないだろ……



あいつのタイミングの良さもピカイチ。


幸いな事に、手元の書類が最後の1枚だったりする。


その上、あとは認証印のみ、という素晴らしい状態。

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