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暗闇で恋しましょう

第13章 情けない

そうしている内に、部屋のドアが開く音が耳に入った。



「失礼します。副社長。今から……」



俺の様子を見てか、止まる声。



しかし、この声は……



思い当たるその声に、振り向けばやはり思った人。


丹田美佳(たんだみか)がそこに立っていた。


来たのが彼女であることは、今の俺にとっては好都合も好都合。


その気持ちは隠すことなく表情に出たのだと、丹田の眉間のシワが物語る。



「顔に出過ぎです。少しは隠して下さい。他社員から見たら、サボリを許容されて喜んでるようにしか見えませんよ」



軽く注意まで受けてしまった。


分かっているけど、運が良いと思わずにはいられないのだ。


なんせ丹田は、“俺が会社を出る時の理由”を知っている数少ない人間だ。

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