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彼女らは決まって、こういう状態の俺に遭遇したら、何も聞かず俺を外に出してくれる。


今だって俺が行く道を開け、端で書類を書いて待機中。


恐らく俺の直帰の書類。


勿論、最初からこうだった訳では無い。


理由をちゃんと言っていた時期もある。


まあ、それが社会人として当たり前ではあるんだが。


こうなったのは、確かーーー


杏ちゃんが熱を出し、どうしても帰らなきゃいけなかった、あの日からだ。


急ぐ俺に、いつも以上にしつこく理由を聞くその社員を俺は、大声で払ったんだったか。


今思えば、理不尽極まりないのだが、その俺が、酷く“らしくなかった”とその場にいた皆は口を揃えて言う。


普段、冷静で滅多に声を荒げない人が、と驚いたらしい。