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暗闇で恋しましょう

第13章 情けない

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着いた飛翠の部屋の前。


いつもならここで、準備する時間が数分できる。


車で来たとはいえ、汗臭いかも とか


服装の乱れは? とか


話題は とか


色々、思案するからである。



“いい歳してそんなことに、数分も時間をかけるのか”



と、ぜひ言わないで頂きたい。


いい歳だからこそ、年頃の女の子に会う時、気を遣うのだ。



杏ちゃんに、“臭い”とか“汚い”とか言われたら、俺は死ねる



だけど、今日はその時間は作らず、合鍵でドアを開く。


泣いてるんだから、そんなことしてる場合じゃない。



って思ったからなんだけど……



その心配対象の杏ちゃんは、俺の目前、玄関に立っていて。


確かに涙の跡はあれど、現在泣いてる節はなかった。


部屋の隅の方にいるか、布団を被っているか。


何にせよ、ドアを開けすぐに対面と思ってなかった俺。



ちょっとビクッてなったよ……

でも、今、泣いてる訳では無いのか



一安心。


ホッと胸を撫で下ろす。

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