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暗闇で恋しましょう

第13章 情けない

それにしても、杏ちゃんの面持ち。


さっきまで泣いていた、というには、弱々しさを一切感じさせない。


真っ直ぐ俺を見て、何かを強く、訴えている。


それは、何か。


考える間もなく



ぐいっ!!



「!?」



俺の身体は強く前に引かれた。


見れば、杏ちゃんが両手で思い切り俺を引っ張っていて。


だが、このままでは靴を履いたまま敷居を跨いでしまう。


律儀に思ったのがいけなかった。


引っ張られている状態で、靴を脱ごうとした俺は、もちろんバランスを崩す。


そのまま、杏ちゃんに覆い被さってしまう既のところで、身体を翻し、事故を防ぐ。






ごんっ!!



「っ…………」



後頭部を強く床にぶち当ててしまった。


あまりの痛さに声も出ずもがく俺の目が捉えたのは、俺を見下ろす杏ちゃん。

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