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暗闇で恋しましょう

第2章 唯一の

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私が服を着る(といっても、ひぃちゃんの服を被るだけなんだけど)間、ずっと家に上がらず後ろを向いていた水上さん。


本当に優しくて律儀な人。


私の悪戯心も擽るってものだ。


だから、何度か着てもないのに着たと嘘吐いて、水上さんを驚かせた私。


そのせいか、ようやく部屋の真ん中にあるちゃぶ台を囲み、座った時には、何処か水上さんは疲れていた。


その様子に、私もどことなく満足感を得る。


にこにこ笑っていれば、呆れた様なでもどこか嬉しそうな息を吐く音が聞こえた。



「なんだか、あいつに似てきたね。杏ちゃん」

「え?!本当?!」



咄嗟に反応するのは、水上さんの“あいつ”はひぃちゃんのことで、水上さんはひぃちゃんの唯一の親友だから。


そんな人に、ひぃちゃんに似てきたなんて言われたら嬉しいに決まってる。


にやぁと頬も緩んでしまう。


でも、その様を水上さんに見られるのはなんだか恥ずかしいので、口元を両手で隠す。



嬉しい.....嬉しい....!



今日は、なんだかいいことずくめだ。


これ以上のいいことって....



もしかして、ひぃちゃんが告白してくれるとか?!


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