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暗闇で恋しましょう

第2章 唯一の

それはまあ、置いといて。


水上さん、貴方今、“大きくなった”と申されましたね?


ずずいと目を瞑る水上さんに詰めよれば、気配を感じたのか目を開ける水上さん。


それと同時、驚いたように後ろに身を引く。


「な、え、ちょ、杏ちゃん.....?」

「大きくなった...」



恨みがましく呟くけど、意味を理解出来ない様子の水上さん。


顔に?マークが見える。



「だーかーらー、やっぱり....私、太った....?」

「え....ええ...?」

「だって、大きくなった=太った、でしょ....?そんな、はっきり言わなくても....」

「え、ち、違う!違うよ!!」



涙目再来は勘弁してほしいらしい水上さんは、必死に否定する。



「大きくなったっていうのは、大人になったっていう意味だよ。俺、杏ちゃんがこんな時から知ってんだもん。親の気持ちにもなるさ」



弁明しながら、示すのは水上さんと会った頃の私の大きさなのだろう。


つまり小学生。


そんなに小さかったのだろうか。


自分では分からないものだ。


うんうん関心しながらも、内心喜びがまたも膨らむ。


水上さんが“大人になった”と感じるなら、もしかしたらひぃちゃんが思ってくれてるかもしれない。

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