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暗闇で恋しましょう

第16章 回顧①

これさえ消えれば、また、1人、静かな空間に放り出される。


悲しくなんてない。


むしろ有難いくらいだ。


ピンポーン


1人は楽でいい。


余計なことを考えなくて済む。


ピンポーン


音は、人を彷彿とさせる。


人がいると余計な思考が湧き出


ピンポーン



……………しつこい



これだけ鳴らされると、そっちに気がいって余計な事も考えられない。


が、違う。


そういうことではないのだ。


俺は、“静か”な場所で1人でいたいんだ。


ピンポーン


これだけしつこいとなれば、俺の予想は外れたか。


怪しい宗教でも新聞でもなければ、こんなところ誰が来ると……



……………あ



ふと俺の頭に1人過ぎった所で、時既に遅し。


がちゃりと鍵が開かれる音がしたかと思えば、家の戸は開かれた。

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