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暗闇で恋しましょう

第16章 回顧①

カーテンは締め切り、電気もつけることのない部屋で過ごしている俺。


開いた戸から垣間見得る太陽で、目はあっという間に死へのカウントダウンを始める。


それを塞ぐは、1人の男。


この男こそ、呼び鈴の主であり、電話の主。


水上祥人。


パタンと戸を閉め、じろりと俺を睨む。


お怒りごもっとも。


出ることもせず電話を切り、呼び鈴に応答する姿勢すら見せなかったのだから。


ただ、このやり取りが1回目なら、の話だ。


もう10回以上、こいつはこんなことを続けている。


なんというか、飽きないものだ。


可愛い彼女のためならまだしも、こんな根暗男のためなど。


だから、対処にも慣れてしまう。


その睨みは、視線をそらすことで簡単に回避出来るんだ。


はぁーと長い溜息が聞こえ、敷居に足を踏み入れた音が聞こえた。


次いで、シャッという音。


ガララと聞こえれば、生温いものが頬を掠めた。


どうやらカーテン、ついでに窓を開けたらしい。

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