暗闇で恋しましょう
第17章 回顧②
あぁ、ほら、また、あいつ、が……
「やっと、顔、上げた」
にこーっと嬉しそうに少女が笑う。
その笑顔さえも、やっぱりあいつに被ったけど嫌な気分には一切ならず。
変な汗も引いていく気配。
「おじさん、泣きそうな顔、してたから、迷子かな、って思ったんだけど
大丈夫そうだね。今、さっきより元気な顔してる」
「………」
あぁ、そうか。
あいつが子供を産んだらきっと、こんな子だったからだ。
何故こんなにあいつに似てるのかは分からない。
俺の目が、罪悪感が、見せているだけなのかもしれない。
だから、この子じゃなくても子供だったら誰だってそう見えていたのかも知れない。