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暗闇で恋しましょう

第3章 貴方の優しさは私の本音を隠す

少し不安に思っているとゆっくり口が開き、それは音を出す。



「......なんか企んでるでしょ」

「......バレた?」



てへと舌を出し、かわいこぶるが、長い溜息によってそれは消された。



「ゴマ摺ったって、俺からは今時雑誌しか出てこないよ」

「たまにエロ漫画もねぇ」

「.......あれは杏ちゃんのために買ってきたんじゃないの....」

「水上さんも男なんだなーって思ったよー」

「本当、勘弁して....」



私が得る女としてのイロハ等は大体雑誌からで、それを買ってきてくれるのが水上さん。


今日もしっかりと目の端には本屋の袋があるから、買ってきてくれたんだろう。


エロ漫画の件は、未だに水上さんがいい顔をするから弄るんだけど。


あれは決して私に買ってくれたものではなかったけど、私の雑誌と同じ袋に入ってたもんだから、私がうっかり見ちゃったってだけ。


それが純粋も純粋。


13の私だったことが、水上さんに酷い犯罪感を持たせてしまったらしい。


“自分は犯罪者ではない”


そんな思いを水上さんは、自分自身に言い聞かせるように



“俺が買ったんじゃないから!その時一緒にいた奴が勝手に俺の袋に入れたんだから!”



なんて言って必死に弁解したんだっけ。

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