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暗闇で恋しましょう

第25章 救われたんだ③

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単純な男は、それ以来甘夏に懐きに懐いて。


うざがられても、お構い無しに付いて回ったりして。


気付けば、秋が過ぎ、冬がやって来て、卒業式が一週間後。


そんな時期になっていた。


それでも変わらず、男は昼休みになれば、甘夏がいるあの場所へと足を













“君が、甘夏飛翠くんか”
















心臓がどくんと脈打つのが分かった。


よく、知る声。


男の人生を、願いを、壊す声。


最近、平和で忘れていた。


男は、縛られているという事実を。



また、俺は大切な人の人生をも壊すのか……?



「っ」



ダメだ………ダメだ!そんなこと、あってはいけないんだろ?!

今は、目の前にいる。止めれる。大丈夫。今度こそ



そう、思うのに男の足は一歩たりとも出そうとしない。

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