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暗闇で恋しましょう

第25章 救われたんだ③

妻のことを妻だと認識しないばかりか、むしろ邪魔だと言わんばかり。


息子である男に至っては、少し反抗しただけで、もはや勘当扱いだったらしい。


“おかげ”と太鼓判を押している相手には、“消えて欲しい”と豪語までしやがる。


この人は、本当に同じ人間なんだろうか。


男の目には、化物にしか見えなかった。


ヒステリックを起こしても、まだ母の方が余程人間臭いじゃないか。



“質が下がるものは排除するが、いいものは取り入れたい考えなんだ。目の前にあるなら尚更、その考えを実行するべきだろう?それなのに、そのいいものには最悪な特典付きでね”

“あぁ、申し訳ない。本人目前にして、最悪は少々荒い言葉だったな”

“いや、なに、君の家柄は大層普通そうだと思ってね。それは些か嬉しくないものでね。うちは、由緒ある家だから”



さもそれが当たり前というように話を進める父。

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