
暗闇で恋しましょう
第25章 救われたんだ③
「まず1点、別に俺があいつ、あなたの息子さんに関わりに行ったわけじゃありません。あなたの息子さんが、俺に勝手に懐いて関わってきたんです」
甘夏
「そして、2点目。あなたは“質が下がるものは排除する”と仰った。でも俺の目からは、最も下がるものを排除できていないように見える」
“………なに?”
「敢えて“何”とは言いませんがね。ちょっと前の状態のあいつをあなたは“質が下がるもの”と判断するくらいには、あなたの視力は悪いみたいですし。多分一生見えないと思うので」
甘夏………っ………
「俺には、あの頃のあいつも今のあいつも、質が下がるものと判断するには早計過ぎると思いますよ」
甘夏、なんでお前は、そんなに強いんだ…………
“っ…………”
「………俺、この時間はいつもここで寝てるんです。言ってる意味、分かります?その時間、取られて今、非常に機嫌が悪いんです。もう終わったなら、立ち去ってもらっていいですか?」
物怖じなどしてたまるかと言わんばかり、高圧的な態度に流石に父も意表を突かれたらしい。
少しよろめいたあとで、父はその場を立ち去った。
