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暗闇で恋しましょう

第30章 俺とあいつとそしてーー……③

守の母親はそんな俺を責めるわけでもなく、1つ1つ手に取っては、それに関する話をしていった。


そんな彼女を見て、遺品整理なんてのは口実なんだと悟った。


この場も俺を元気付けるために、設けてくれたものなんだろうと。



「1通り、終わったわね。ありがとう。飛翠くん。助かったわ。お茶でも、入れようかしら」

「……………………すか」

「………え?」



そんなどこまでも優しい彼女を見て、本当に自然と口から言葉が出た。



「なんで………ここまで、してくれるんですか………俺に、貴女がここまでしてくれる理由が見付からない………だって、俺は貴女の娘さんとおま」



俺が言葉を言い切る手前、彼女の手が俺の口を封じた。

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