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暗闇で恋しましょう

第33章 だから、きっと、この涙は

手に入っていた力も、少し。



「本当、10以上下の奴に、気使われてちゃ世話ねぇな」

「………いや?」

「まさか。現に俺は救われてるしな」



再度、ひぃちゃんが手に力を込める。


でも、言葉からも汲み取れるけど、きっとこれは、さっきのそれとは含んでいる意味が違う。



「よし、行くか。てっぺんでキス、しなきゃだもんな」

「…………へ?!」

「驚きすぎ」



口角を上げ、してやったり顔のひぃちゃん。


冗談とも言わず、ひぃちゃんは歩を進み始めるものだから、私の頭は大混乱。



え?冗談だよね??え?!



真相は分からぬまま、私は、先行くひぃちゃんに引っ張られるように歩を進めたのだった。

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