
暗闇で恋しましょう
第33章 だから、きっと、この涙は
「………いや、違うか。きっと、そもそも守は、俺を咎めてなんていなかった」
「俺を責める守も泣く守も、全部自責の念が見せてた幻想でしかなかったんだ」
「未練ってのは、怖いな。勝手に創り出して、うなされて、怯えて」
「本当、馬鹿みたいだよな。俺」
「でも、やっと気付けたんだ。やっと、未練ってのが晴れたんだ。それもこれも俺がーー」
止まる、言葉。
私に向けられる、視線。
その視線はどこか熱っぽい。
「ーーーお前を」
「お疲れ様でしたー。お足元、気を付けてお降りくださーい」
ひぃちゃんの声をかき消したのは、係員の声。
