テキストサイズ

暗闇で恋しましょう

第34章 これからも…………なんて

ゆっくり顔を上げれば、私の手はひぃちゃんの胸にあって。


やっと、顔上げた、なんてひぃちゃんが呟いた。



「な?すっごい緊張してる」



柔らかく、情けなくひぃちゃんは笑って見せる。


本当に今日のひぃちゃんは、バリエーション豊かによく笑う。


ただでさえ、ひぃちゃんの笑顔に私は慣れていないというのに。


ほら、また。


心臓が忙しなさに拍車をかけ始めた。


これじゃどっちの心音か分かったもんじゃない。



「っていうか、何緊張してるって話なんだけどな」



私の手を離し、ひぃちゃんはふぅと1つ息を吐く。


離れていった手の温もりが、私の手からじわじわ消えゆく。


それに、どこか不安感を得る私。



「緊張するようなこと、する訳でもねぇのにな」



そういえば、私は言ってもらっていないんじゃなかったか。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ