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暗闇で恋しましょう

第37章 幸せな話

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「………………………いた」



杏目覚めの開口一番。


俺への信用のなさが滲み出るのは自業自得だ。


それよりも、枯れて気だるげな声の方が俺を朝から刺激し、どうにも宜しくない。


だって、それは昨日の行為の激しさを思い出させる。


ふぅと息を吐き、自らを落ち着かせる。


さすがに昨日の今日ではダメだろ。


しかも朝っぱらから。



「おはよう。大丈夫か?身体」



さらりと髪を撫ぜれば、すりと擦り寄うその頭。



「ふふ………変なの………ひぃちゃんと、こんな会話」



まだ寝惚けているのか、見せるその笑顔はどこかふにゃっとしている。


本当、勘弁して欲しい。

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