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暗闇で恋しましょう

第38章 幸せに

その配慮は男としては完璧だけど、加害者としてはどうなんだ。



「あ、そうだ。よっ」



俺に向けられ投げられたモノをキャッチすれば、それは車のキーで。



「助かった」



その言葉に、深い意味が無いことは分かっている。


車を貸したから、それが助かったとただ、それだけ。


それだけ、なのに、俺の胸はジーンと熱を帯びる。



そうなる、理由なんて………



考えて過ぎるのは、飛翠から貰ったものを返したい、飛翠を救いたい、そんな、思い。


こんな些細なことだけで………いや、今までの諸々があったとしても、俺は………


返せた気でいるのか。


救えた気で、いるのか。



何も返せちゃいない

救えちゃいない

ジーンとするな。俺


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