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暗闇で恋しましょう

第6章 罪を背負うのは

このサボリ。


別に最近始まったことでは無い。


もう彼これ5年以上、こんなことをしている。


全く自慢できることではないけれど。


それなのに会社に捨てられず、未だ残れているのには理由がある。



「その才、頂いたからこそそんなことが許されてんだから」

「才、なぁ......」



祥人が言う“才”というのは、俺の手先の器用さと要領の良さのことなんだろう。


今の職場で、その2つは輝きに輝いた。


お陰で俺は、仕事ができる奴No.1に輝き俺がいなければ、滞る作業があるまでに。


それが為か、職場は俺にとことん甘い。


サボりは愚か、遅刻だって知らぬ存ぜぬ。


楽っちゃ楽だが、一緒に働いてる人らの目がきついのも確かで。


まあ、そういうの自分はあんまり気にしないタチだからどうでもいいんですけど。


自分に被害さえなければ。



「………もう、10年。10年経ったんだね。あの子ももう16になった」



いきなりの話題変更。


それもまさかの杏の話題。



「おい」



周りを気にしながら、強めに呼び掛ける。


“あの子”と伏せてはいるけど、あまり外で杏の話はするなとあれ程言っているのに。

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