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暗闇で恋しましょう

第6章 罪を背負うのは

だけど祥人の耳には入らないようで、口も止まらない様子。



「16......16だよ。飛翠。16」

「.....だから何だよ」



何となく何を言いたいのか察したが、敢えて言わぬまま。


話題を変えないのは、次の言葉には確実に俺が関与しているからで。



「......もうそろそろさぁ、自分が大人になっていってるって自覚してもいいと思うよね....」



物憂げな溜息を吐かれ、確信。


また、したんだな。


杏の欲求不満解消のお手伝い。



「お前も良くやるな。あんなん適当に流せばいいものを」

「だって....だって....」



その後は言葉にならず、濁ったけれど、言いたい事はよく分かってる。


俺に祥人が“ごめん”と謝ったのはいつのことだったか。


頭を深々と下げ、何事かと驚いたのを覚えている。


問いただせば、祥人の“ごめん”の真意は2つあるのだと理解した。


1つは、杏が売春紛いのことをしていて、それを気付いてやれなかったこと。


1つは


それが原因で杏の体に触れてしまったこと。


だけど、どっちにしろ俺は謝られる立場ではなかった。


杏の親でもなければ、言うなれば他人。


もっと言えば、加害者だ。

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