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暗闇で恋しましょう

第6章 罪を背負うのは

だって、杏の大人びたその言葉は、歳を追う事に確実に杏の中で薄まってきている。


行動の大胆さも相まって、清々しい程に。



「......犯罪だろ」

「犯罪者が犯罪語るなよ」

「.....何故ああなった」

「さあ?開き直ったんじゃないの?“何してもひぃちゃんが手出してこないなら、とことんやってやろう”的な」



本当に思ってそうで怖い。


“何をしても手を出してこない”


それが普通の筈なんだろうが。


やっぱり、杏はどこかずれている。


ずれさせたのは俺、と言われても何も反論はできないが。



「でも、俺、今の杏ちゃんの方が昔より好きだなぁ」

「......大人になったし手を出しや」

「そうじゃなくてだな....」



少し弄りすぎたらしい。


祥人の顔、本気で怒る3秒前くらいになっている。


普段温厚な人程怒ると怖いというが、祥人がまさにそのタイプ。


ガチで怖いので、口を噤む。



「昔の杏ちゃんからは、激しく罪の意識を感じたけど、今の杏ちゃんからはあんまり感じない。全くとは言えないけど、ノビノビとしてて、良いなって」



杏の罪の意識。


それは、俺が好きというその気持ちを指してるんだろう。

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