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暗闇で恋しましょう

第6章 罪を背負うのは

加害者に恋する被害者などあってはならないから。



「......答えてあげるつもりは、ないんだもんね」

「.....答えて良いと思うか?」

「はは.....微妙だよねぇ。犯罪の上塗りだもんなぁ」



それもあるが、ずっと一緒にいれる保障などどこにあろうと言うのか。


俺は、いつかはきっとあいつの元を離れる日が来るというのに。



「.....好きという気持ちに罪はないんだし、俺はいいと思ってしまうよ。いつか、杏ちゃんが罪の意識から完全に放たれて、飛翠に素直に“好き”と言える日が来ることを願わずにはいられないんだ」



工業地帯を見詰める目はひどく優しいもので。


自分の罪を忘れてしまう程、穏やかな気持ちになる。



「.....罪を背負うのは俺とお前だけでいい」



それでも、現実から逃げることは出来ない。



「....そこで俺が、“俺も好きだ”と言うのは願わないのか?」

「そりゃあ、そんなハッピーなことないだろうし、杏ちゃんにとっても1番いい未来なんだろうけど、世の中そんなに甘くないだろ」



流石。


今まで厳しい環境に生きてきただけある。


しっかりとした意思をお持ちのようで。

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