暗闇で恋しましょう
第6章 罪を背負うのは
だけど、だけどな、祥人
俺は思うんだ
そんな優しいお前だって、背負う必要は無いんだって
そんな思いは、内に秘め切れず、決壊したダムの如し。
言葉になって溢れかえる。
「別に、お前まで背負う必要ねぇよ。お前の罪は“黙っていること”。ただそれだけだ。あ、まあ、杏に手を出したのは庇いきれねぇけど。それだけならまあまあ軽いんじゃねぇの」
横目で見える祥人の顔は酷く怪訝そうで。
そういえば、この話題はご法度だった。
「......何が、言いたい」
だけど、そう問われれば止まることもできなくて。
「俺を警察に突き出せば、っつってんの」
吸い尽くした煙草を地面に落とし、足で火を完全に消す。
足をどかし、視線をその煙草に落としたまま、数秒後。
祥人がしゃがみ、その吸殻を拾い上げた。
何をするのかと見ていれば、煙草なんて吸わないくせに、胸ポケットから出て来たのは吸殻入れで。
そこに吸殻を入れてから、痛いほどの視線を俺に突き付けた。
「そんなこと俺に出来ると思うか。この俺に、お前を捨てるような行為」
伝わるのは激しい怒気。
....こいつもまだ、あんなことに縛られているんのか
もう、良いんだぞ、そう告げたって割り切れないのはよく分かる。
俺も、そうだから。