テキストサイズ

暗闇で恋しましょう

第8章 お買い物1

だけど、ここで拗ねたりしたらまたガキだって思われる。


今日じゃなくたって、また機会は訪れる。


買い物に行ける日は、またいずれ。


そうだそうだー!と自分を奮い立たすけれど、そうにもその機会を私は有効に使えた試しがない。


機会が来る度、この会話を繰り広げている気がする。


私もそろそろ学習をすべきだと思うのだけど、ひぃちゃんも私に負けじと凄い。


私の反応が面倒とはいえ、毎回毎回この会話に付き合ってくれてるんだから。


純粋に優しいのか、はたまた……


ひぃちゃんにとってこのやりとりは、記憶にも残らない程のもので。


何回やってもひぃちゃんにとっては1回目だからなのか。



……2択出したけど、後半だった場合の私の心の抉れ具合は半端ないね

記憶に残らないって……

ひぃちゃんにとっての私って……



これ以上考えたら、心が折れそうだ。


あくまで前向きでいかないと。


自然と落ちてた顔を上げ、気合を入れる意味を含め、両手でガッツポーズ。


と同時、ずいっと顔の前に何かを差し出された。


近過ぎて、視覚からは白いって情報しか得れなかったが、嗅覚は甘い匂いを捉える。



「んっ」



白いものの奥にいるらしいひぃちゃんを、顔をずらして見る。


そこには、口にスプーンを咥え右手にカップを持つひぃちゃんがいた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ