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暗闇で恋しましょう

第9章 お買い物2

しつこいと言われようが、関係ない。


こういうのははっきりさせておかないと。



「それは聞いたろ。“腕時計、欲しかったのか”って」



何か、言ってたような言っていなかったような。


うーん?と悩む私に、呆れたようなひぃちゃん。


人間の思い込みって怖い云々言っている。


それにしてもここに来た理由って、それ……?


自分が、じゃなくて私が、で来たってこと?


もうこの人なんなん。


そんなん、キュンキュンするに決まってる。


これ以上、私を貴方好きにしてどうするん。


でも、1つだけ疑問点。


ひぃちゃんは私の何を見て、“腕時計を欲している”と思ったのか。


私は一言も腕時計の話題を出した記憶はないし……



「お前、あの服屋行く最中。ずっと俺の腕時計見てたからな。欲しいのかと思って」

「流石。検定1級とかのレベルじゃないね。最早」



何の話……と顔を歪めたひぃちゃんはスルー。


私のそんな無意識な行動まで見てくれていたとは。



嬉しいけど、とんだお門違いなんだよなぁ



私のその視線は、その腕時計の向こうを見ていたのだろう。


向こうのその人への嫉妬とか羨望とか。

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