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暗闇で恋しましょう

第10章 お買い物3

かと言って、こんなとこでくだを巻いていても何も解決しない。


とりあえず、万が一の可能性をかけ、雑貨屋に戻ってみることから始め



ピンポンパンポーン


『え、えーと……ま、迷子、迷子のお知らせを致します』



迷子……

……ああやって放送流せば、流石に気付くだろうし、手っ取り早……



……


いやいやいや、ダメだっつーの

落ち着け。俺



“橋立杏”その名が、放送で流れてみろ。


このショッピングモールは、たちまち騒然となるだろう。


もっとも、放送を掛ける前にその名を俺が人に告げた時点で、警察を呼ばれるだろうけど。


なんてったって杏はまだ、“行方不明者”だ。


ここがあいつの暮らしてた所から、随分と離れている地域だとしても知られてない訳がなく。


1人の少女が行方不明になったんだ。


そんな事件、全国で放送せずにどうするって話だ。


はぁと思わず溜息が漏れる。


自分で撒いた種とはいえど、随分難しい種を蒔いたものだ。


拾うのも一苦労。


こんなことをごたごた考えている内に、出来ることをしろと自分でも思うんだが。


こうも最善の方法を突き付けられると、自分のやろうとしてる事がバカバカしくなってくる。

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