テキストサイズ

斉藤太一です

第13章 再会と約束

「しずく…ごめんね

ママ


びっくりしちゃって

でも

平気だからね


もう、平気だから・・」




かすみは

かがみこんで
しずくを抱きしめた




「ママ、うれしい?


パパ
迎えに来てくれて
うれしい?


しずくはね


すっごく
うれしいんだよ?


しずくはっ

うっ…うれしいんだよ


っ…ママっ…

マっマ…



ごめんっなさっ


しずく

お…っ…お手紙…


お手紙ごっ…ごめっ

ごめんっ…なさっ…」







8月も
終わりだというのに

まだまだ

暑くて



日差しが

痛いくらいに
眩しくて




行き交う
車の音が



うるさくて








眼鏡を外して



涙を
拭いていたから




かすみを

見ることが
できなくて





しばらく







しずくの泣き声だけが





聞こえていた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ