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斉藤太一です

第5章 似合わないだけ

「斉藤太一さん」




「ん?」




「コーヒーカップ貸して」




「あ、あぁ・・」




部屋に入ると
君はそう言って

僕が
空っぽの
コーヒーカップを渡すと

君は
コンビニの袋から
買ってきた飲み物を出して
カップに注ぎはじめたんだ



やっぱり

コーヒーが
苦手だったんだね



「コーヒー、ダメだったんだね

今度から
何か買っておくよ

君は
何が好きなんだい?」




君が好きなものを

知りたいと
思ったんだ


なんでもいい



君の事を知りたくて・・・



でも
君は
ちょっと困った顔をして


「自分で
買ってくるから
気にしないで」


って言ったんだよね




ちょっと・・がっかりしてたんだよ




君の為に
何か・・

なんでもいいから
してあげたいと
思っていたから



君に



助けてもらってばっかりだったから・・。







それから
いつも君は
飲み物を持ってきて

そのカップに注いで

帰りに
そのカップを
洗って帰るように
なったんだよね



そのカップは


あれからずっと




君専用で



誰も使っていないんだよ






君が

また



使ってくれたらって







僕は





ずっと

思ってるんだ

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