嘘
第11章 最後の夜
女将「必死にお願いするから私てっきり
あなたの事が好きなのかと思ったら違う
って」
結衣「そっ…そうですよ、だって」
女将「あなたの事が好きなんて言えない
言っちゃいけないって」
結衣「なっ何ですかそれっ…」
女将「意味不明よね」
結衣「意味不明ですよ、本当に…」
女将「でもあなたならわかるんじゃない
その言葉の意味が」
結衣「わからないですよ、そんなの」
言葉の意味なんてわからないし
わかりたくもない
だけど…
結衣「そんなのわかりたくもない…」
女将「…」
目頭が熱くなった
きっとゴミが目に入っただけ
そう自分に言い聞かせ沸き上がる想いに
必死に目を逸らし
蓋をした
結衣「…」
女将「そろそろ戻りましょう」
結衣「…はいっ」
女将「…」