嘘
第8章 黒い陰
結衣「ありがとうございました」
篤「大丈夫か」
結衣「大丈夫ですよ」
篤「…」
結衣「おやすみなさい」
篤「…おやすみ」
平気なふりをしたが本当は平気じゃない
全然、平気なんかじゃない
不安で堪らない
元々、交遊関係が広く
飲みに行く事も多かった慶一郎
一緒に行こうと誘われた事もあったが
結衣はそれを断っていた
結衣「…」
だから今回の事は自業自得だった
多少なり飲み会に同行さえしていれば
理香の存在を知る事は出来たし
存在をアピール出来た
彼女である自分の存在を…
結衣「…11時か」
慶一郎が帰るまで頑張って起きていよう
でも明日は早いから30分
あと10分だけ
必死に頑張ったが
その日、どんなに待っても
慶一郎が家に帰って来る事はなかった
残業ながら…