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悪魔的ドクター

第1章 再会

すると…
反応が悪いあたしを心配したらしく、ようやくあたしと目を合わせた。



「どうしたの?気分悪い?」


「はい。悪いです」



確かに『気分』は悪い。
あたしは若干先生を睨みつつ
吐き捨てる様に即答した。


その言い方に
先生はあたしが怒ってる事に感づいたらしい。

近くにいた看護婦さんに席を外す様に指示すると、看護婦さんは素直に従って診察室を出て行った。



「はぁ…。お前なぁ…」



いきなり溜め息をつき
先程の
『僕モード』→『俺モード』に
口調が変わった。



「よくあたしが怒ってるってわかりましたね」



悔しくてムスッとしながら言ってやった。



「あんだけあからさまに態度に出たらわかるから」



先生はカルテを閉じ
眼鏡を外しながら答えた。



「先生になったら、急に態度変わるんですね」


「これが俺の仕事だし、仕方ないだろ。患者は皆平等」



『患者は皆平等』ねぇ…。

そんなのは当たり前なのに
やっぱり納得いかない。

研修医の頃の温かみある速水先生の方が良かった。



「もういいです。薬もらって帰ります」



速水先生は研修医の頃と違い
今は『医者』という
お偉いさんになったんだから
性格も態度も変わるのは当たり前かもしれない。


そう考えたら
あたしはもう
どうでもよくなってしまった。





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