泣いて、笑って、恋をした。
第2章 act1
その日は、10月に入り台風が近付いて来ていると朝のニュースで言っていた。
空は低い鉛色の雲を連れて来て、今にも雨が降りそうだった。
用心の為に持って出掛けたビニール傘は、学校が終わり帰る頃に出番がやってきた。
鉛色の空は雨だけではなく、繁華街のネオンに負けないくらいの雷も引き連れて来た。
遠くで光り
少し遅れて音が落ちる。
光が見える度に肩をすくめ足早になる。
横殴りの雨で差している傘はもう意味を持っていない。
それでも繁華街にある小さな店の2階へと向かって歩いていた。