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泣いて、笑って、恋をした。

第2章 act1





カズの背中が見えなくなり、
その視線の先をまた祭壇の写真へと向けた。




笑ってんな




カズが言ったように写真の母親は笑っている。
夜に見せる営業用の笑顔じゃなく、私の母親としての屈託のない笑顔。




これを撮ったのは半年前。
きっとこの時にはもう借金で、どうしようもなくなっていたはずなのに、




私は母親に借金があることさえ知らなかった。
小さなスナックだったから、
生活は楽ではなかったけど、それほど深刻には考えて居なかった。




高校に入学もしたし、バイトでもして少しは自分のことは自分でしようと考えるくらいだった。




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