泣いて、笑って、恋をした。
第3章 act2
「行くぞ」
彼は両手をズボンのポケットに突っ込み私に背中を向けた。
行くって何処へ。
何で私が?
その思いが私の足をその場に引き留めている。
少しずつ歩いた彼が振り向き
「梨花の命、俺にくれたんだろ?」
微かなネオンの光を背中に彼は銀色の髪を耀かせ「まぁ、答えなんていちいち聞いてなれねーけどな」とまた唇の端を上げた。
その顔にゾクッと体が小さく震える。
今まで感じたことがない感覚。
怖いとは感じない。
だけど、わたくしの中の何かが何かを感じている。
そして2度目の「行くぞ」と言う彼の数歩離れた距離を保ちながら、彼の後に連いて歩いた。